スマート・フォーラム通信 通算280号

このところ、在宅勤務やテレワークの新聞記事があふれている。  資生堂で21年間、商品企画や人事労務を担当した東レ研究所の宮原淳二さん。 在宅ワークで家族の絆が強まった、という。これまでは朝8時に家を出て夜9時 に帰宅、子育てを専業主婦であるお連れ合いに任せていた。4月から完全在宅勤 務になり、思春期の娘との会話が増えた。買い物と犬の散歩が自分の担当だったが、 これに掃除が加わり、料理は妻の担当だが、時には総菜や弁当をスーパーに買いに 行くなどして妻の負担を減らす工夫をした。周囲ではコロナ禍で家族の絆を深めた というエピソードが多い。 一方、社会学者で早稲田大学准教授の森山至貴さんは、 新型コロナウイルス感染症対策が「多数派の普通の家族」を前提として行われたこと を批判。さらに家族に過重な負担が押し付けられ、家庭での無限大のケアが求められた。 一斉休校やテレワークで男性の家事・育児への参加が進んだならよいことだが、 「ステイホーム」にうまく適応し「家族の時間」を享受できたのはコロナ禍でも収入の それほど減らない比較的恵まれた家庭だけだったのではないか。休業要請や雇い止めで 大きく収入を減らした家庭、保育園の休園で働くことが困難になったシングルマザーな どの存在があった。 さて、明治安田生命が6月12~15日に6歳までの子供がいる既婚男 女計1100人に、外出自粛がもたらした子育ての意識変化について、インターネットでアン ケートを実施。男性は「積極的に子供の面倒をみるようになった」など前向きな回答が7割 を超えた。ところが女性では「子供にイライラすることが増えた」の回答が最多で、 「夫の育児にイライラすることが多くなった」を含めて、約4割が子育てのストレスを 感じるというネガティブな回答で、「子供とのきずなが深まった」など前向きな回答は 約5割にとどまる。夫が在宅勤務となった専業主婦のうち、4人に1人が「今後はしてほし くない」と回答し、その理由で最も多いのは「夫が家にいることで家庭不和となり子供 に悪影響が出る」(36.4%)だった。同社は、「普段から夫婦で意識のギャップを埋め る話し合いをすることが大切」と分析。  コメントするまでもなかろう。望まない在宅勤務は、貧富や男女差別の格差拡大以外 のなにものでもない。

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