スマート・フォーラム通信 通算293号

最高裁、非正規格差で5つの判決  隠れた2つの重要判断(日経11/16)  最高裁が同一労働同一賃金に関連し10月に出した5つの判決には、 重要な判断が2つ隠れていた。ひとつは、非正規社員の処遇を誰と 比べるかという「比較対象者問題」。もうひとつは、格差をどう 算定するかの「割合認定問題」。  比較対象者として、企業側は、仕事の幅の広い総合職と比較しようとするし、 非正規側は身近で同じ仕事の正社員との比較を主張する。大阪医科薬科大の判決では、 原告敗訴ではあったが、比較対象者を二審の大学の正職員全部から「教室事務員であ る正職員」に変えていた。メトロコマース訴訟でも、全面敗訴した一審では社員全体 だったが、一部勝訴した二審では「地下鉄売店に勤務する正社員」に変え、結論的には、 敗訴させた最高裁も二審を踏襲している。ケースによっては必ずしも企業側が不利とは 言えないが、「非正規社員の責任は総合職よりも軽いので待遇差は不合理ではない」 という論法は封じられるだろう。 もう一つの格差割合については、日本郵便の3訴訟 では正社員との全差額が損害とされた。例えば、住居手当について東京訴訟の第一審では、 正社員の6割分を損害と認定したが、二審は損害を10割とし、最高裁も踏襲した。 一方で、大阪医科薬科大の二審では、正社員の賞与の6割、メトロコマースの 二審では正社員の退職金の4分の1を認めたが、最高裁は、使用者側の不合理性 自体を認めず割合認定も無効とした。明治大学の野川忍教授は、 「賞与や退職金で最高裁が割合を認めた場合、その割合なら不合理ではないという メッセージとして受け取られることを懸念したのかもしれない」と分析。  労働組合が職場で団結を固めて賃金等に関する情報を集約して闘うことの  重要性が問われているといえる。

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