スマート・フォーラム通信 通算322号

非正規公務員 遠い処遇改善 ―4分の3が女性、孤立させぬ取り組みを (9/20日経)  行政サービスにあたる地方公務員、窓口など最前線で対応する職員の多くは非正規で、 4分の3を女性が占める。2020年4月に非正規公務員の処遇改善を目的に「会計年度任用職員」 制度が導入された。  関西地方の市役所に週4日パートタイムで勤務する40代女性Aさんは、市内の高齢者宅を 訪問し支援が必要な場合に行政や医療機関につなげる業務を担当。コロナ下でも対面による 感染への不安を抱えながら戸別訪問を続ける。「日々の業務量はフルタイムの正規職員と ほぼ変わらない」(Aさん)が、待遇面では大きな差がある。社会福祉士の資格を持つAさんの 年収は300万円ほど。昨年夏から期末手当(ボーナス)が支給され始めたが、 「旧制度では月収にボーナス分が含まれていた」という説明で月の手取りは数千円減った。 今夏のボーナスは2万数千円ほどで、月収のカット分を下回り、「新制度で、年収はむしろ減って しまいそう」と嘆く。ワクチン接種も正規職員優先で、Aさんらには「まだ案内すらない」ので、 結局、自らクリニックを探して接種した。  全国に約69万人いる非正規公務員の9割にあたる約62万人が20年4月から会計年度任用職員になったが、 そのうち女性が8割弱を占める。総務省の調査では4分の1の自治体が「制度改正前よりも賃金水準が下 がった職種がある」と回答。総務省は「期末手当の支給を理由とした給料抑制は制度の改正法の趣旨に沿わない」 と通知している。ただ実態は各自治体の裁量任せで、国・自治体双方が改正法の趣旨徹底を図る意識の低いことが、 非正規の処遇改善と逆行する現場の動きにつながっている。  長野県小布施市は全職員の7割にあたる238人が会計年度任用職員。新制度導入に伴い、パートタイムの 非正規職員にも給与水準を維持した上で1.45ヶ月のボーナスを支給。今年度はさらに上乗せし1.8ヶ月分とした。 昨年度の人件費は全体で約7000万円増加した。大宮透総務課長は「高い専門性を要する基幹的業務も非正規が 担っているが、現状でも最低賃金に近い水準。財政上の制約はあるが、昇給も含め、少しでも待遇改善 につなげる努力を続けたい」と話す。  連合の神津里季男会長は、非正規の取り組みを「道半ばのだいぶ手前」と率直に認め、 「コロナ禍での気づきをどう生かすか、労組も問われる」と語る。共に働く非正規の不安を 見て見ぬふりしてはいないかという問いに「決してそんなことはない。解決は、連帯からしか 生まれない」とする。コロナ後の労組の存在意義にも直結する。 *******************************
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