スマート・フォーラム通信 通算342号

違法派遣に「雇用の強制」(日経4/25)  2021年11月、大阪高等裁判所は、床材大手の東リに、製造工程で「請負労働者」 として働いていた原告5人と同社の間には無期の労働契約が存在するとの判決を出した。 東リ側は判決を不服として最高裁に上告受理を申し立てた。  高裁判決の根拠は、労働者派遣法40条の6に規定された「労働契約申し込みみなし制度」。 違法な派遣労働を受け入れた時点で、その企業は労働者に「直接雇用を申し込んだ」とみな すもので、実質的に「強制雇用」の効力を持つ制裁と言える。対象となる違法派遣は 「偽装請負で労働者を就労させる」など5類型が明文化されている。  厚生労働省が20年に明らかにした資料によると、現在のみなし制度が導入された15年10月以降 の3年間で、各地の労働局が同制度について実施した指導は458件。 うち22件で関係労働者が派遣先や業務委託先で直接雇用に移行した。  派遣の受け入れ企業は、国会審議段階から、派遣社員の雇用主への移行を強制される点を 「採用の自由」への侵害と受け止め、反発した。経団連も、どんな場合に制度が適用されるか 予見可能性が低いことを問題視して、制度撤廃を求め続けてきた。  いずれにせよ制度が存在する以上、外部の労働力を受け入れる機会が多い企業は違法派遣 とならないような注意が必要だ。一時期ほど多くないと思われがちな偽装請負は多様な形で 続いている。司法判断を踏まえ、適切な就業管理ができているか再点検する必要がある。

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