スマート・フォーラム通信 通算349号

生徒の『困難』教材に 全員内定へ就活に力  (日経 大阪府立西成高校長山田勝治さんの連載インタビューから)  西成高校を立て直すきっかけになったのが「反貧困学習」だ。虐待、ヤングケアラー、 シングルマザー、外国ルーツなど、生徒が実生活で体験し感じていることを匿名で発表する。 これまで独りで抱えてきたことが「ああ、人に言っていいんだ」となる。それを聞く生徒たち にも化学反応が起きる。労働者の権利についても学ぶ。アルバイト先を解雇されたある生徒は、 労働基準監督署に相談して法的な解決金を受け取った。バイトは彼の家計の重要な収入源で、 世の中おかしいなら声を上げようと言う学びを実践した。  卒業時の内定率100%を11年連続で維持する。勇気が必要だったが、 「部活動よりもバイトしよう」と呼びかけた。バイトができない子は就職もできないから。 実際アルバイトの面接で何回も落ちる生徒がいて、専門のカウンセラーが相談に乗っている。 バイトは高校生が社会とつながる重要な回路であり、バイトができない子は就職もできないから。もちろん部活を優先してかまわないが、顧問の先生にはバイトを認めてもらう。就職に力を入れるのは、正社員になれば安定した収入を得て幸せにつながると考えたから。ただ、それも最近は揺らいでいる。 内定率100%というのはすごいことだと感じつつ、中退率はどのぐらいなのかなと思った。 私は、30数年前に大阪の被差別部落の高校生の学習活動の「先生」をしていたことがある。 その時の同僚のある高校の先生は、「女子生徒のアルバイトは反対なんや」と言っていた。 「どうしてですか」と尋ねると、「バイト先で仲良くなった年上の男性と結婚して、 高校を中退してしまう子があまりにも多いから」という。夜の9時過ぎに、最近学校に 顔を出さない(=出席日数が足りなくなる)生徒の家に親が帰ってくる時間をみはからって 家庭訪問するということも珍しくないという。年度末が近づくと進級が危ない生徒の家まで 行って起こしてやることもあるというのは、いくらなんでもやり過ぎじゃないかという 会話もあった。内定どころか、とにかく高校を卒業させることが大きな目標だった。 今はどうなんだろう?

*******************************
横浜市鶴見区豊岡町20-9-505
よこはまシティユニオン「スマート・フォーラム」
http://smartforum.sakura.ne.jp
*******************************

戻る