スマート・フォーラム通信 通算356号

正規への保護見直し不可避/小野浩一橋大学教授(10/4日経)  正規対非正規の格差を是正するためには、正規を解雇しやすくする環境と 法制度の見直しが必要だ。企業が正規採用をためらうのは解雇が難しいからだ。 労働市場の流動性が高まれば、正規を採用しやすくなり、非正規の需要は低く なるだろう。同様に正規の労働条件をより柔軟にすることが必要だ。  週3日勤務、テレワーク可など、働き方をより柔軟にして、正規対非正規の バリアーを低くすることが必要だろう。必要な時しか雇わない非正規は 使い捨て」であり、人的資本という認識は薄い。非正規にも人材育成の機会を与え、 有能な非正規は正規職に転換を促すような柔軟な取り組みが求められている。  小野氏のように、日本の正規労働者の解雇が難しいから非正規が増えた、 と言う人は少なくないが、具体的に解雇を困難にしている法律など存在しない。 労働基準法19条で労災休業中解雇と妊娠中の解雇が禁じられているぐらいである。 時にはそれすら日本的退職勧奨で踏みにじられる。最近の「流行」はさまざまな ハラスメントである。 とにかく日本の正規雇用が諸外国と比較して相対的に守られ ているというデータなど見たことがないし、小野氏も正規と非正規の人数の推移を 紹介しているだけで、何ら根拠をあげていない。かつての「日本の賃金は世界一高い」 と同じようなデマである。非正規格差は問題だと言いながら、実は単に正規の権利を 奪おうとしているに過ぎない。ちなみに小野氏は、日本の長時間労働をなくすには、 第一にトヨタのように生産性を徹底的に高めて無駄を排除すること、 第二に成果主義の本格的導入、第三に仕事内容の明瞭化と分業体制の確立、 第四がトップダウンアプローチ、第五に仕事から距離を置くような逆説的発想、 というような考え方の持ち主。「絵に描いた餅」を作るのが得意なのは間違いない。

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