スマート・フォーラム通信 通算365号

研究者雇止め 厳しい資金繰り影響  『科学・政策と社会研究室』代表理事 榎木英介氏インタビュー(12/20毎日)  大学や研究機関の非正規労働者が、無期雇用へ転換できる権利を得られる2023年4月を前に、 雇止めされるケースが相次いでいる。研究者のキャリア問題に詳しい病理医の榎木英介さんの インタビューから。  雇止めの背景には、大学や研究機関が限られた財源でやりくりを強いられていることが 背景にある。大学では国立大学が法人化された2004年以降、大学の基盤経費となる国から の運営交付金が段階的に削減されてきた。その中で研究者らの「任期制」が主流となってきた。 無期転換した後に雇用を維持できる資金が確実ではなく、過度な競争により一部の大学に 資金が集中することも起きている。2013年の改正労働契約法では、5年で無期転換すること になったが、研究者らの場合は研究機関やその継続性などを考慮し、特別に10年となった。 10年も同じところで働き続けるということは、そこで重要な役割を担ってきたことを意味して いるはずで、無期転換しないのはおかしい。もちろん有期契約を望む人もいるが、 研究者の意思に反して契約を切るのは、キャリアが雑に扱われているという点でも問題だ。 研究者が国外に流出する可能性もあり、国や社会にとって損失だ。 未来の科学技術を担う国内の若者が研究職を避けるのではないかと懸念している。  この10年間、国も含めてアカデミアは何をしてきたのかと残念な思いだ。 大学や研究機関は、まずは無期転換権を付与すべきで、研究資金の安定化や 裁量が効く基盤的な資金の充実化に向かってほしい。  研究分野で競争があるのはある程度仕方ないが、10年間勤務したら安定 できるような道筋があるべきだ。

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