スマート・フォーラム通信 通算367号

激増する非正規公務員(立教大学特任教授 上林陽治氏にきく)(毎日2/14)  地方公務員の非正規化は急速に進んだ。図書館職員の例でいえば、 1987年には1割が非正規で9割が正規だったのに、5年ごとに10%ずつ逆転し、 現在は2割が正規で8割が非正規になっている。  地方公務員数でもピークは94年の約328万人で、2021年には約280万人になっている。 その間、生活困窮者の自立支援、消費生活相談、DV相談など、地方公務員の仕事は むしろ増えており、それを埋めるために非正規が使われてきた。 非正規公務員は20年時点で約110万人で、ほぼフルタイム。 処遇でいえば、図書館職員でみると、非正規の全国平均の年収は約201万円で、 正規の3割だ。保育士で見ると、非正規は222万円で正規の4割。あまりにも差があり過ぎる。 しかも民間と異なり、例えば20年働いていても、いつでも雇止めができる。 会計年度任用職員制度の導入で多くの自治体が公募試験を始めたが、 むしろそれが雇止めをするための道具になっている。長い経験を持つ 非正規職員を正規にした方が公益性は高いはずだ。ところが、例えば 児童虐待に対応するための家庭児童相談員は、業務経験が長いほど非正規の 割合が高いという逆転現象が起きている。  男女間の賃金格差は、民間正社員の場合、男性100に対して女性が76で、 地方公務員の場合は男性100に対して女性は89。 ところが、非正規で見ると、民間非正規社員は65だが、女性非正規公務員は43になる。 公務員は恵まれた存在だという思い込みが世間にあり、非正規公務員の問題がなかなか 広がらない。住民の側から「私たちの生活を支えている人の処遇をちゃんとしてくれ」 という声をあげてほしい。

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