スマート・フォーラム通信 通算370号

異次元の10年(現場からの報告)  『雇用増』支える非正規(毎日4/4)  政府・日銀は、「異次元」と称された大規模な金融緩和、 そしてアベノミクスによって日本の雇用環境は大きく改善したとアピールする。 就業者数や有効求人倍率などの統計結果からは、雇用環境は持ち直しているよう に見えるが実態はどうなのか。 4月8日に退任する黒田日銀総裁は、 「経済の改善は労働需給のタイト化をもたらし、女性や高齢者を中心に400万人を 超える雇用の増加がみられた」と語る。数字だけ見るとたしかに異次元緩和が スタートした2013年に約6300万人だった就業者数は22年に約6700万人に増加、 有効求人倍率も13年の0.93倍から22年は1.28倍となった。しかし賃金面では、 厚労省の毎月勤労統計調査によると、22年の1人当たりの現金給与総額は月平均32万円台で、 ピークを記録した1997年と比べ5万円近く下がっている。90年代は2割程度だった非正規雇用 が22年には36.9%とほぼ倍増。21年の非正規労働者の平均年収は198万円で正規雇用の508万円 の半分以下という状況だ。つまり失業率が改善する一方で、新たに雇用される労働者の多くが 非正規を占めることで、平均年収の停滞につながっている。  第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは、「大規模緩和の成果 で雇用が増えたと言う黒田総裁の主張は因果関係があいまいだ」と疑問の目を向ける。 「後任の植田新総裁は、緩和効果の功罪をきちんと検証してほしい」と語る。

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