スマート・フォーラム通信 通算375号

韓国 出生率0.78の衝撃  『女性のキャリア確保へ安定雇用を』(毎日6/3)  韓国統計庁が2月に発表した2022年の「合計特殊出生率」(1人の女性が一生に産む子供の数)は0.78で、 同じく少子化が深刻化する日本の1.26を大幅に下回る。韓国政府は20年近く前から少子化対策に莫大な 予算を投じてきたが、それでも少子化は進んできた。韓国の国会立法調査処は14年に1.19(13年)が改善 されない場合の推計結果として、「韓国は2075年には消滅する」と発表していた。それから約10年経過し たが状況は悪化を続けた。  ニッセイ基礎研究所の金明中主任研究員は複数の要因をあげる。まずは、高い教育費。収入よりも教育費 が上回る教育貧困層という言葉まである。富裕層の多くも「もう一人子供を」ではなくて、政府からの支援金 でもっと良い教育を受けさせようとする傾向がある。 もう一つは、若者がおかれている厳しい現実。20~29歳 の失業率は6.4%で、全体の失業率2.9%を大きく上回る。景気が比較的良好だった中高年世代と格差が大きく、 非正規労働者の割合も約4割と高い。その背景には大企業と中小企業の賃金格差が大きいという事情もある。 4年制大学卒業者の就職率67.7%(21年)で、3人に1人は就職していない。大企業を目指して就職浪人を繰り返し、 失業率が高くなる傾向がある。 3つめは、儒教的な考えの名残で、結婚してから子供を持つ、結婚後の新居は 男性が用意する慣習がある。その結果、未婚化や晩婚化が進む。男女間の賃金格差や就労格差も大きい。  金研究員は、改善策として必要なのは雇用の安定化だという。非正規雇用を減らし、女性が育児によるキャリア の断絶を心配せず安心して長く働ける環境を作ることだと話す。日本も共通する点がある一方で、日本の雇用は韓国 よりは安定しているので、韓国ほど下がらないのではないかと分析している。

*******************************
横浜市鶴見区豊岡町20-9-505
よこはまシティユニオン「スマート・フォーラム」
http://smartforum.sakura.ne.jp
*******************************

戻る