3月19日、斎藤経済産業大臣は、新潟県の花角知事と電話で協議し、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に地元が同意するよう要請しました。21日には資源エネルギー庁長官が県庁で直接知事に会って、働きかけました。
新潟県にある柏崎刈羽原発は7号基まであり、世界最大の発電規模ですが、福島第一原発の大事故以降、全部止まっています。新潟では、1964年の「新潟地震」、2004年の「新潟県中越地震」、2007年の「新潟県中越沖地震」と3回の大地震が発生してます。中越沖地震では、柏崎刈羽原発3号機の変圧器が、地盤の不等沈下で油漏れを起こして火災が発生、消火用の配管の破断などで鎮火までに時間がかかりました。
能登半島地震でも、震源から約150キロ離れている新潟県の刈羽村で震度5強を観測、道路のひび割れや液状化が起きました。柏崎刈羽厳罰でも、燃料プールの水のあふれ、壁面のヒビや地下水の染み出しが見つかっています。津波警報が出たので、周辺住民が車で避難しようとしましたが、地震の被害で国道や高速道路が通行止めになり大渋滞になりました。もともと、原発事故が起きても大雪で車が立ち往生したら逃げられない、という問題があります。
あり得ないタイミングでの再稼働要請
新潟県は、独自の委員会【注】で福島第一原発事故の検証を進めており、花角知事は、柏崎刈羽原発を再稼働させるかどうかについては「民意を問う」と言っています。国からの働きかけに対しても慎重姿勢を示しました。
能登半島地震で起きた最大4メートルもの隆起を見て、原発は大地震に耐えられない、道路が寸断されて逃げることもできない、とあらためて多くの人が不安に思ったのに、その直後のあり得ないタイミングで、政府が前面に立って再稼働させようというのです。
「地震に耐えたから大丈夫」は無責任 耐えられなかったらどうするのか
能登半島地震の震源地の珠洲には、合計1000万キロワットの世界最大の原子力発電所を作る計画がありました。長年の反対運動で建設は中止されましたが、もし建設され稼働していたらどうなっていたのか、想像すると恐ろしくなります。地震で数メートルもの段差ができたら、原発の設備が耐えられたはずはありません。
能登半島にある志賀原発も止まったままで稼働していませんでしたが、地震で被害を受け、大量の油漏れを起こしました。真下にある断層の問題も指摘されてきました。それでも、「再稼働を目指した動きを止めるな」「今度の地震に耐えたのだから再稼働しても大丈夫」と声高に叫ぶ人たちがいます。もし耐えられなかったらどうなるかを考えようともしない、きわめて無責任な発言です。
原発を止めるのが、防災の第一歩
地震が起きた時の原発の危険性が、能登地震でも現実のものになったのに、かまわずに柏崎刈羽原発を再稼働させようとする政府のやり方は、あまりにも強引です。
また、13年間原発を動かしたことがなく、テロ対策の不備などで、昨年末まで原発を運転する資格なし、運転禁止とされていた東京電力が、大地震に対処できるとも思えません。
原発は全部止める、動かなさい、まず今ある使用済み燃料や核物質の安全確保をやる。これが、地震や津波など自然災害に対する原子力防災の第一歩だと考えます
<組合員N>
【注】新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会
■故長尾光明さんの闘いを胸に
よこはまシティユニオン組合員の長尾光明さん(故人)は福島第一原発で働き、被ばくが原因で退職後に多発性骨髄腫(血液のガン)を発症し労災認定されました。損害賠償を求めて東京電力を相手に裁判を起こしましたが、東電は労災認定はおろか病名すら否定。裁判所も長尾さんの請求を棄却しました(最高裁2010年4月)。
■原発で働く労働者と共に闘います
原発は電力会社を元請とした4~8次の下請会社で稼働しています。3.11以降、多くの労働者が福島第一原発の収束作業に関わり、被ばくを余儀なくされています。東電福島第一原発の収束・廃炉作業や九電玄海原発の定期検査に従事し、被ばくが原因で白血病になったあらかぶさん(40代男性)は2016年11月22日に東京電力と九州電力を相手に損害賠償を求めて提訴し闘っています。ぜひ多くの皆様の傍聴支援をお願いします。
よこはまシティユニオン組合員の長尾光明さん(故人)は福島第一原発で働き、被ばくが原因で退職後に多発性骨髄腫(血液のガン)を発症し労災認定されました。損害賠償を求めて東京電力を相手に裁判を起こしましたが、東電は労災認定はおろか病名すら否定。裁判所も長尾さんの請求を棄却しました(最高裁2010年4月)。
■職場の問題、いつでもご相談を!
東日本大震災や原発事故を忘れないため毎月11月に街頭宣伝を行っています。労働組合としてできる事は何かをいつも考えています。「福島どころじゃない」「自分の仕事と生活が大変」という方もいるでしょう。そんなあなたこそ、諦める前に一度ぜひ職場の問題をユニオンに寄せてください。一緒に解決しましょう!