使用済み核燃料再処理工場 工事開始から30年以上、27回目の完成延期(青森県六ヶ所村)


総工費15兆円を食いつぶす 危険のかたまり「六ヶ所」

8月29日、日本原燃株式会社(注*)は、青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場の完成目標を、今年9月末から2026年度中に延期すると県に報告しました。1993年の工事開始から30年以上、実に27回目の完成延期です。

 設備の廃止を含めると、この再処理工場の総工費は15兆1,000億円にふくらむ見通しです(「使用済核燃料再処理・廃炉促進機構」発表)。 では、30年以上も設備が完成しないのに、日本原燃は、なぜ潰れないのでしょうか。それは、できるかどうかもわからないのに、原発を持つ電力会社から、再処理費用を前受けしているからです。その費用は、各社の電気料金に上乗せされ、消費者につけが回されています。

「六ヶ所」が動かず、行き場のない関西電力の使用済み核燃料

発電に使った後の使用済み核燃料は、原子炉の脇にあるプールで冷やされます。このプールがいっぱいになってしまうと原発の運転を止めなければならなくなるので、六ヶ所再処理施設の「使用済み核燃料貯蔵プール」に運び出していました。ここに集めた使用済み核燃料を、切り刻んで再処理する予定だったものの、再処理工場がいっこうに動かないので、このプールはすでに満杯になっています。

 関西電力は、福井県にある古い原発の再稼働を認めてもらう代わりに、使用済み核燃料を県の外に運び出すことを、県と約束しました。今年9月までに六ヶ所再処理工場が動く予定だったので、そこに運び出す計画をたてましたが、再処理工場が完成せずに計画がダメになったので、知事や県議会に謝らざるをえませんでした。他に県外に運び出す目処は立っておらず、関西電力は困りはてています。

核燃料を切り刻み溶かして生まれる危険な「高レベル放射性廃液」

使用済み核燃料の再処理は、燃料を切り刻んで酸で溶かし、ウランとプルトニウムを取り出します。この時に生み出される「高レベル放射性廃液」がとてつもない放射能を持っています。ガラスと混ぜて固体にしても、人が側に立つことすらできないほどです。ドイツでは、1976年に、高レベル廃液が冷やせなくなってタンクが爆発すると、最終的には当時の西ドイツの人口の半分の3,000万人が死亡するという内務省委託の研究結果がスッパ抜かれました。ドイツは、再処理工場の建設を中止し、再処理をやめました。

 一方、日本では、六ヶ所再処理工場を動かそうとして、高レベル廃液漏れや、ガラス固化の失敗などをくり返し、施設を放射能で汚しただけでなく、固化できずに残った高レベル廃液も処理できずに保管しています(2019年6月現在、六ヶ所に約220㎥、東海に約340㎥)。大事故を起こせば日本を滅ぼしかねないと言われているのに、2年前には、バルブ操作を誤って廃液の冷却が8時間止まるという事故も起こしています。

 再処理工場を動かすと、事故がなくても、原発1基が出す1年分の放射能を1日で出すと言われています。巨費をつぎ込みながら完成のメドも立たない再処理工場の建設は直ちにやめて、高レベル廃液など放射性物質の安全な管理に全力を注ぐべきです。【組合員N】

故長尾光明さんの闘いを胸に

よこはまシティユニオン組合員の長尾光明さん(故人)は福島第一原発で働き、被ばくが原因で退職後に多発性骨髄腫(血液のガン)を発症し労災認定されました。損害賠償を求めて東京電力を相手に裁判を起こしましたが、東電は労災認定はおろか病名すら否定。裁判所も長尾さんの請求を棄却しました(最高裁2010年4月)。

よこはまシティユニオン組合員の長尾光明さん(故人)は福島第一原発で働き、被ばくが原因で退職後に多発性骨髄腫(血液のガン)を発症し労災認定されました。損害賠償を求めて東京電力を相手に裁判を起こしましたが、東電は労災認定はおろか病名すら否定。裁判所も長尾さんの請求を棄却しました(最高裁2010年4月)。

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