高レベル放射性廃棄物を地下に埋めて何万年も放ったらかし 「核のゴミ」の地層処分は許されない!


たくさん応募して、と大宣伝

5月19日から22日にかけて新聞各紙に、「地層処分の国民的議論について」というNUMO(ニューモ/原子力発電環境整備機構)のシリーズ広告が、掲載されました。また、JRや地下鉄の車内や構内のモニターでも、同じ内容のビジョン広告が流されたので、「何これ?」と思った人もいると思います。

「地層処分」とは、原子力発電で使った使用済み核燃料を、切り刻んで酸で溶かした時に出る「高レベル放射性廃液」をガラスで固め、何万年もの間、300メートルより深い地下に埋めておくことを言います(切り刻んだ核燃料から残ったウランとプルトニウムを取り出すのは「再処理」)。ガラス固化体も使用済み核燃料と同じで放射能が強く、人が近づくことなどできません。そんな「核のゴミ」をどこに埋めるか(押し付けるか)を決めるのために、「国民的議論」で理解を深めて、たくさんの自治体が、適地かどうかの調査を受け入れてくださいと言っています。

億年単位で動かない岩盤のフィンランド、適した場所など「ない」日本

世界の中では、唯一フィンランドが地層処分の試験操業(実際の使用済み核燃料は使っていない)に入っていますが(オンカロ/地下約430メートル)、フィンランドは、世界で最も古い、19億年前にできた花崗岩質の硬い岩盤の上にあり、少なくても10億年以上、地殻変動していません。また、燃料棒を切り刻む「再処理」は行わずに、使用済み核燃料のまま、10万年保管する計画です。 

一方、日本に、10万年もの間、大きな地震もなく、地殻変動や火山の大爆発もないと言える場所があるでしょうか。文献調査を受け入れるだけで、20億円の交付金が支払われるので、北海道の寿都町と神恵内村、佐賀県の玄海町が調査を受け入れていますが、硬い岩盤の上にある国と、地下で4つのプレートが重なり合い、大地震や火山の噴火が頻発する日本では、全く条件が違います。日本には、地層処分に適した場所などないのです。

ほとんど知らされなかったのに、今さら「国民的議論」

NUMOは、2000年に制定された「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」に基づいて作られた組織ですが、そんな法律ができて、組織が作られ、地層処分することまで決められていたことを、どれだけの人が知っていたでしょうか。事業費は、原子力発電を行う電力会社から拠出されますが、もとをたどれば、利用者が払う電気料金です。

計画では、使用済み核燃料が全部「再処理」されることを前提に、2万7,000本ものガラス固化体だけでなく、放射能が半分になる半減期が1,570万年もある「ヨウ素129」などの超ウラン元素や、水に溶けやすく、もれ出しやすい物質もある「地層処分相当低レベル放射性廃棄物」もいっしょに埋めることになっています。

子供や孫、その先の人々のために「核のゴミ」をこれ以上増やすな!

強引に原発を推進し、核のゴミを溜めてきたのは、国や大手電力会社です。これからも原発を動かせば、使用済み核燃料も、放射能を帯びたさまざまなゴミも増え続けます。子供や孫、その先の人々のために、まずやるべきなのは、原発を止めて、これ以上の核のゴミを出さないことです。

生み出してしまった核物質は、管理しながらなんとか閉じ込めて、放射能が減るのを待たなければなりません。埋めてしまって後は知らない、ということは許されません。 【組合員N】

故長尾光明さんの闘いを胸に

よこはまシティユニオン組合員の長尾光明さん(故人)は福島第一原発で働き、被ばくが原因で退職後に多発性骨髄腫(血液のガン)を発症し労災認定されました。損害賠償を求めて東京電力を相手に裁判を起こしましたが、東電は労災認定はおろか病名すら否定。裁判所も長尾さんの請求を棄却しました(最高裁2010年4月)。

よこはまシティユニオン組合員の長尾光明さん(故人)は福島第一原発で働き、被ばくが原因で退職後に多発性骨髄腫(血液のガン)を発症し労災認定されました。損害賠償を求めて東京電力を相手に裁判を起こしましたが、東電は労災認定はおろか病名すら否定。裁判所も長尾さんの請求を棄却しました(最高裁2010年4月)。

職場の問題、いつでもご相談を!
東日本大震災や原発事故を忘れないため毎月11月に街頭宣伝を行っています。労働組合としてできる事は何かをいつも考えています。「福島どころじゃない」「自分の仕事と生活が大変」という方もいるでしょう。そんなあなたこそ、諦める前に一度ぜひ職場の問題をユニオンに寄せてください。一緒に解決しましょう!

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