
台湾では、今年5月17日、稼働していた最後の原発、第三原発2号機が40年の寿命を迎えて運転を終了。これによって、台湾で稼働する原発はゼロになりました。原発の寿命を現行40年から60年に延長できる法改正が行われ、8月には、第三原発の再稼働を求める住民投票が予定されるなど、原発を推進しようとする勢力もあきらめていませんが、日本と同じ地震国の台湾の人々は、福島第一原発の大事故以降、10万人を超える大規模デモを行うなど、以前にもまして原発反対の声を大きくあげてきました。2014年には、ほとんど出来上がっていた第四原発の工事が凍結され(日立と東芝が原子炉、三菱重工がタービン、清水建設が建屋を受注していた)、今年ついに原発ゼロの日を迎えたのです。
日本では、2011年の福島第一原発事故の後はすべての原発が止まりました。いくつかの原発が再稼働した後も、「できるだけ原発に頼らない」というのが政策の中心でした。ところが、2023年に岸田政権は突然、方針を転換。現政権は原発を「最大限活用する」として新しい原発の建設までやろうとしています。今年7月、関西電力は、福井県美浜町の美浜原発の建て替えのため地質調査を開始する方針を表明しました。自公政権は、60年以上の運転を認めるなど、今ある原発を延命しようとしていますが、関西電力の原発はどんなにガンバっても(ガンバらなくていいのですが)2050年代に廃炉を迎えます。原発の建設には何十年という長い年月がかかるので、廃棄物などの問題は先送りして、早く建設に取りかかりたいのでしょう。しかし、原発を推進する理由の一つであるCO2削減や地球温暖化対策には全く間に合いません。どれだけかかるかわからない建設費については、電力会社や投資家がリスクを負わなくてもいいように、電気料金などから調達する仕組がいつの間にか考えられています。
ちなみに、フランスは昨年、着工から完成まで17年かけたフラマンビル原発3号機を稼働させました。建設費用は予定の約4倍、2兆円以上かかりました。
日本は世界有数の地震大国です。昨年の能登半島地震の震源地の珠洲市は、原発建設予定地でしたが地元の反対で建設が中止されていたために今回の地震による原発事故を免れました。アメリカがイランの核施設を攻撃した時、トランプ大統領は広島・長崎の原爆投下になぞらえました。
大地震であろうと何らかの物理的攻撃であろうと、ばく大な放射能を抱える原発や核施設から核物質が放出されたら、人間の力で止めることは不可能です。核施設自体をこれ以上作ってはいけないのです。
電気料金などでお金を集めて、新しい原発の建設に湯水のように注ぎ込み、核のゴミを増やし、問題解決は将来に先送りするなど許されることではありません。原発建設に、何十年もの時間と労力、ばく大な資金をかけるのではなく、知恵と工夫を集めて、再生可能な自然エネルギーの開発と普及をどんどん進めるべきです。【組合員N】
■故長尾光明さんの闘いを胸に
よこはまシティユニオン組合員の長尾光明さん(故人)は福島第一原発で働き、被ばくが原因で退職後に多発性骨髄腫(血液のガン)を発症し労災認定されました。損害賠償を求めて東京電力を相手に裁判を起こしましたが、東電は労災認定はおろか病名すら否定。裁判所も長尾さんの請求を棄却しました(最高裁2010年4月)。
■原発で働く労働者と共に闘います
原発は電力会社を元請とした4~8次の下請会社で稼働しています。3.11以降、多くの労働者が福島第一原発の収束作業に関わり、被ばくを余儀なくされています。東電福島第一原発の収束・廃炉作業や九電玄海原発の定期検査に従事し、被ばくが原因で白血病になったあらかぶさん(40代男性)は2016年11月22日に東京電力と九州電力を相手に損害賠償を求めて提訴し闘っています。ぜひ多くの皆様の傍聴支援をお願いします。
よこはまシティユニオン組合員の長尾光明さん(故人)は福島第一原発で働き、被ばくが原因で退職後に多発性骨髄腫(血液のガン)を発症し労災認定されました。損害賠償を求めて東京電力を相手に裁判を起こしましたが、東電は労災認定はおろか病名すら否定。裁判所も長尾さんの請求を棄却しました(最高裁2010年4月)。
■職場の問題、いつでもご相談を!
東日本大震災や原発事故を忘れないため毎月11月に街頭宣伝を行っています。労働組合としてできる事は何かをいつも考えています。「福島どころじゃない」「自分の仕事と生活が大変」という方もいるでしょう。そんなあなたこそ、諦める前に一度ぜひ職場の問題をユニオンに寄せてください。一緒に解決しましょう!