2025年10月号


台湾

→法律で決められた有権者数の4分の1に届かず

原発再稼働のための住民投票、成立せず!

日本

→莫大な建設資金、放射性廃棄物の処分場所も未定 なのに、原発を新設!?

今年5月17日、台湾で稼働していた最後の原子力発電所、第三原発2号機(南部屏東郡)が40年の寿命を迎えて運転を終了。台湾で稼働する原発はゼロになりました。

しかし、第2野党の台湾民衆党(TPP)が原発の再稼働を問う住民投票を提案。第1野党の国民党(KMT)も賛同し、原発を再稼働させる方向での住民投票の実施が立法院(日本の国会)で承認されました。対象になったのは5月に閉鎖された原発です。投票では、安全上問題がないと「認める」場合には、賛成することになっていました。

 8月23日、住民投票が行われ、台湾の中央選挙管理委員会によると、再稼働に賛成は430万票で、反対の150万票を上まわりましたが、選挙法で提案の成立に必要と決められている、登録有権者数の4分の1(約500万票)には届かず、原発再稼働を認める住民投票は成立せず、否決されました。台湾では、これからも原発ゼロが続きます。  台湾は、50年近く原子力発電を続け、一時は電源の5割以上を原子力発電が占めていました。しかし、台湾は日本と同じ地震大国です。東日本大震災で福島第一原発の大事故が起きた後の2014年、北部に建設されていた第四原発の建設が、住民の反対で中止になりました。稼働していた原発も運転開始40年で順番に停止。今年、原発ゼロが実現したのです。

一方、日本は、福島第一原発事故後、約2年間、原発ゼロの期間もありました。再稼働に踏み切った安倍政権時でさえ、「原発にできるだけ頼らない社会」をめざしていたはずなのに、岸田政権が突然方針転換し、今では「原子力を最大限活用する」となっています。

 再稼働した14基の原発のうち6基は稼働してから40年以上経つ老朽原発です(7基が30年以上、一番若い玄海原発4号機が28年)。今ある原発をだましだまし60年以上使い続けてもいつかは止める時が来ます。それまでの間、大事故を起こさないよう、大災害が起きないよう、一か八かの運転を続けることになります。 そして、様々な核廃棄物が大量に残されます。使用済み核燃料は、ウランが出す放射能のレベルになるまで何万年もの時間をかけなければなりません。また、原発は通常運転時だけでなく、廃炉にする時、廃棄物を処理する時などあらゆる場面で、人間が放射能を浴びながら仕事をしなければなりません。

 今、この瞬間に全部の原発を止めたとしても、生み出してしまった核物質を処理するだけで、孫・子やはるか先の世代にまで、とてつもない負の遺産を背負わせてしまっているのです。

原発の新設も「建て替え」も今すぐやめろ!

関西電力は、廃炉が決まった美浜原発1・2号機の「建て替え」として新しい原発を建設するため、敷地内の調査を始めると発表しました。調査し、候補地を決め、設計し、安全審査を受け、建設に取り掛かり、完成させ、発電を始めるまでいったい何年かかるのでしょうか。昨年稼働したフランスのフラマンビル3号機は、着工から17年、総工費は当初予想の4倍の132億ユーロ(約2兆3,000億円)に膨れ上がりました。

 莫大な資金を飲み込み、処理に何万年もかかる核廃棄物を生み出す原発の新設は、絶対にやめるべきです。【組合員N】

故長尾光明さんの闘いを胸に

よこはまシティユニオン組合員の長尾光明さん(故人)は福島第一原発で働き、被ばくが原因で退職後に多発性骨髄腫(血液のガン)を発症し労災認定されました。損害賠償を求めて東京電力を相手に裁判を起こしましたが、東電は労災認定はおろか病名すら否定。裁判所も長尾さんの請求を棄却しました(最高裁2010年4月)。

よこはまシティユニオン組合員の長尾光明さん(故人)は福島第一原発で働き、被ばくが原因で退職後に多発性骨髄腫(血液のガン)を発症し労災認定されました。損害賠償を求めて東京電力を相手に裁判を起こしましたが、東電は労災認定はおろか病名すら否定。裁判所も長尾さんの請求を棄却しました(最高裁2010年4月)。

職場の問題、いつでもご相談を!
東日本大震災や原発事故を忘れないため毎月11月に街頭宣伝を行っています。労働組合としてできる事は何かをいつも考えています。「福島どころじゃない」「自分の仕事と生活が大変」という方もいるでしょう。そんなあなたこそ、諦める前に一度ぜひ職場の問題をユニオンに寄せてください。一緒に解決しましょう!

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