コストがかかり続け、核廃棄物を出し続ける原子力発電はもうゴメンだ


第7次エネルギー基本計画で原発への依存「可能な限り低減」を削除

2011年の福島第一原発の大事故の後、日本のすべての原発が停止しました。その後、政府も「原子力発電にできるだけ依存しない」ことをエネルギー政策の基本にしてきました。ところが岸田政権時代になって、議論もないまま突然、「原発を最大限利用」に方針転換しました。止まっていた原発の再稼働だけでなく、老朽原発の運転延長、原発の新設、新型原発の開発にまで踏み込みました。

原発は、「温室効果ガス削減」に結びつかない!

気候変動による異常気象が激しくなり、温室効果ガスをいかに減らすか、世界中で、とりわけ若い世代が声をあげ、各国は削減目標を掲げています。日本も2050年までに温室効果ガスの排出を差し引きゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を目標にしています。そのため2040年には少なくとも73%(2013年と比べて)温室効果ガスを減らさなければなりません。
 昨年12月17日、3年ごとに見直される「第7次エネルギー基本計画」の原案が示されました。この計画案では、これまで入っていた「原子力発電の依存度を可能な限り低減」する、との言葉が削られ、2040年の原発依存の見通しを20%程度としました(現在は約8.5%)。しかし、原発は巨大な発電施設なので、故障や事故、自然災害による停止に備えてバックアップに火力発電を準備しておかなければなりません。温室効果ガスの削減効果は、限られます。

高騰する原発のコスト!利用者の大きな負担でしか成り立たない!

いうまでもなく、温室効果ガスを減らすには再生可能な自然エネルギー(再エネ)が最もすぐれています。基本計画通りに2040年に日本の再エネ割合が40~50%になっても、ヨーロッパではすでに達成されている数字であり、日本は15年も遅れることになります。本気で再エネの割合を増やしていけば、投資を呼び、技術開発が進み、量産効果で再エネのコストはさらに下がっていきます。一方、原発は設備を新設するだけで兆円単位の資金が必要になり、電気料金などで大きな負担をしなければ経済的に成り立たなくなっています。

 大事故や核廃棄物のリスクを冒してまで莫大な費用が必要な原発を動かし続けるのか、産業として成長し、安い電気と雇用を生み出す再エネ中心の社会に本気で踏み出すのか、私たちの社会の行方を左右する大きな分かれ道です。

再生可能エネルギー中心の社会へ!

政府は、2050年までに温室効果ガスを減らすために原発が必要だと宣伝しています。しかし、日本原子力文化財団が毎年行っている世論調査(サンプル数1,200人)の2023年の結果では、原発を増やしていくべきと考えている人は5.7%、東日本大震災以前の原発の状況を維持していくべきと考える人が13.4%、しばらく利用するが、徐々に廃止していくべきと回答した人が42.3%でした。

 現在8%の原発の割合を20%にするには、今ある原発を再稼働するだけでは足りず、原発を新しく造らなければ、この割合を達成できません。しかし、地元の了解を取り付け、原子力規制委員会の審査を受け、新しい技術で原発をつくるには、どう見ても20~30年かかります。30年先に莫大な費用をかけた原発が何基かでき、核廃棄物を増やし続けることを、誰が本気で望んでいるのでしょうか。

 再エネの技術開発に力を注ぎ、送電網を整備し、蓄電の技術を高め、本気で再エネ中心の社会を作ることこそが、私たちが進むべき道だと思います。 【組合員N】

故長尾光明さんの闘いを胸に

よこはまシティユニオン組合員の長尾光明さん(故人)は福島第一原発で働き、被ばくが原因で退職後に多発性骨髄腫(血液のガン)を発症し労災認定されました。損害賠償を求めて東京電力を相手に裁判を起こしましたが、東電は労災認定はおろか病名すら否定。裁判所も長尾さんの請求を棄却しました(最高裁2010年4月)。

よこはまシティユニオン組合員の長尾光明さん(故人)は福島第一原発で働き、被ばくが原因で退職後に多発性骨髄腫(血液のガン)を発症し労災認定されました。損害賠償を求めて東京電力を相手に裁判を起こしましたが、東電は労災認定はおろか病名すら否定。裁判所も長尾さんの請求を棄却しました(最高裁2010年4月)。

職場の問題、いつでもご相談を!
東日本大震災や原発事故を忘れないため毎月11月に街頭宣伝を行っています。労働組合としてできる事は何かをいつも考えています。「福島どころじゃない」「自分の仕事と生活が大変」という方もいるでしょう。そんなあなたこそ、諦める前に一度ぜひ職場の問題をユニオンに寄せてください。一緒に解決しましょう!

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